「リーフ、暫くジュジュをここに置いておけないだろうか。このまま返したら、ジュジュはセイボルに付きまとわれてしまいそうだ。セイボルは何かを企んでいるみたいだった」

 セイボルの行動を強調しながらマスカートが頼み込むと、リーフは考え込んで暫く沈黙が流れた。

 皆、固唾を飲んでリーフの言葉を辛抱強く待っていた。

 どこを見ているかわからなかったリーフの目は、やっとジュジュを捉えた。

 その目許は鋭く力が入り、睨まれているようにも見える。

 リーフはジュジュを観察するようにじろじろと見ていた。

「ジュジュ、本来なら私が無理をしてでも君を家へ送り届けたいところだが、君はここに留まりたいと言っていただけに、もしかして家に帰れない事情でもあるのか?」

「はい、そうです。時期が来たら必ず帰るつもりでいますが、今はまだ家には帰りたくありません」

「それで他に行くあてはあるのか?」

「いいえ」

「そうか。わかった。だったら、ここに住むことを特別に許可しよう。但し、みんなと同じように働いてもらう。それでもいいか?」

「えっ、ここに置いていただけるんですか? もちろん喜んで働きます」

「他にも条件がある。私がいつも使用する書斎と寝室には一切入ってはならぬ。また私の邪魔を絶対にしないで欲しい。何か私に用事があればバルジに先に訊いてくれ。この四人の男達の中で一番落ち着いて適格なアドバイスをすることだろう。それさえ守ってくれれば、自由にこの屋敷を使ってくれていい」

「はいかしこまりました」

 その時、モンモンシューが飛び立ってリーフの近くまで飛んだ。

 挨拶がわりに、モンモンシューは人懐こくリーフに接しようとしたが、リーフは面倒ごとのように突然ソファーから立ち上がり、ひらりと避けた。

 モンモンシューはそれがなんだか悲しくなって、しょぼんとしてしまった。

「こいつだが、別にこの屋敷の中を飛び回る事は構わないが、できたらしつけをきっちりとして欲しい」

「わかりました。モンモンシュー、こっちへ来なさい」

 モンモンシューは未練がましくリーフを見つめるも、諦めてジュジュの元へ戻った。