ジュジュは足をもつれさせながら、歩きだした。

 もう一度後ろを振り返り、セイボルの事を考える。

 皆が嫌う中で、ジュジュはセイボルと約束を交わした。

 どうしてもセイボルがみんなの言う悪者には見えない。

 ジュジュの正体を知り、魔術が使える魔王だから、城の誰かに居場所を探せと頼まれて、連れ戻しに来たに違いない。

「魔王……」

 小さく呟くが、リーフの方がその名が相応しく思えた。

 しかし、髪の長さが違うだけで、顔はどちらもよく似ている。

 まるで双子のように。

 ジュジュが再び屋敷に戻れば、暖炉の前のソファーでお茶を手にしてゆっくりくつろいでいるリーフとすぐにかち合った。

 セイボルを見てしまった後にリーフを見れば、やはりよく似ていると、益々じっくり眺めてしまう。

 報告はマスカートによって行われ、リーフは黙って聞いていた。

 マスカートが話し終わると、慌てずゆっくりとお茶を飲み干し、そのカップをバルジに渡した。

 足を組みふんぞり返るくらいにソファーの背もたれに体をもたせかけ、ついでに背もたれの縁に両腕を広げて置いた。

 ジュジュにはそれが無理をして虚勢をはっているように見えた。

 すでにセイボルに負けたくない自己顕示欲がでているのかもしれない。

「セイボルが現れたのか」

 感情を抑えているが、どこかぎこちなく、虚空を見つめその部屋に居た誰とも目を合わせなかった。

 ぐっと奥歯をかみ締め、葛藤するように思案しているその姿は、事情を聞いた後では確執を深く感じてしまう。

 ジュジュはリーフがどう行動するのか黙って見ていた。

 というより、なんだかリーフの無理をしてぎこちなくなってる態度にハラハラしてしまう。