ムッカとカルマンは後を追った。

 そしてモンモンシューも一緒になって追いかけた。

 その直後、爆発音がはじけるように聞こえ、煙幕が広がった。

 二人は口許を多い、咳き込む。モンモンシューも慌てて引き返しジュジュの側に戻った。

「くそっ、魔術を使いやがったぜ」

 目の前で手をパタパタさせて、ムッカは悔しがっていた。

「でもしょうもない子供だましじゃないか。今時こんな手、子供でも使わないよ」

 カルマンは嘲笑っている。

「とにかくジュジュが無事でよかった。まさかセイボルに連れて行かれるとは、本当に危なかった」

 緊張感が解けたマスカートは、胸をなでおろしていた。

 ジュジュは全く何が起こってるかわからず、モンモンシューが肩に止まっても構うことなく呆然としていた。

 その姿を恐怖で慄いていると勘違いし、三人は心配しだす。

「ジュジュ、もう大丈夫だぜ。あいつは逃げていった。また来ても俺達が守ってやる」

 ムッカは安心させようと、力強く自分の胸を叩く。

「今度は絶対僕たちから勝手に離れないでよ。ジュジュは本当に怖いもの知らずなんだから」

 カルマンは呆れて溜息を吐いた。

「しかしだ、セイボルがジュジュに近づいてきたからには安心できない。このまま街に返したところで、また狙われるかもしれない。これはやぶさかではないぞ」

 マスカートは腕を組んで今後の事が心配になってしまった。

 人を疑うことを知らないジュジュは、セイボルの毒牙にかかってしまうのではと思うと許せない。

「こうなったら、屋敷に連れて帰ろうよ。セイボルに狙われているってリーフに言えば、絶対に助けてくれるよ」

「俺も、カルマンに賛成。リーフはセイボルが関係すると必ず行動を起こす。あの二人はいつも対立してるしな」

「カルマンもムッカもそう思うか。実は私も同じ事を考えていた」

「じゃあ、話は決まり、すぐに屋敷に戻ろうよ。またオーガが出てきたら、僕嫌だよ」

 カルマンが催促すると、二人も頷き、引き返そうとする。

「ちょ、ちょっと待って下さい。私には何が起こってるのかさっぱりわからないんですけど。あのセイボルって、魔王とか言ってますけど、一体何なんですか?」

 セイボルを見たときに感じた既視感。

 厳しい顔つきになった時にはっきりと記憶と重なったあの瞬間。

 あの顔は自分の知ってる人物とそっくりだった。