それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

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「待ってバルジ」

 呼び止められたバルジは、背中を向けたまま立ち止まる。

 ジュジュは小走りに回り込んでバルジと向き合った。

 バルジの瞳はどこか揺れ動き、戸惑いを見せる。

 体は誰よりもがっしりとして大きいのに、この時は子供のように何かを心配して不安になっていた。

 先ほどの怒った姿も、この時の姿も、バルジ本来の姿らしくなく、ジュジュは何かを敏感に感じ取った。

「もしかしたら、バルジは何かを知ってるんじゃないの? バルジは誰よりも無口で余計な事を言わないけど、大事な事だけは主張する。ひたすら様子を見ているような気がするの。その裏に、何かを隠して」

「ジュジュの言ってる意味がわからない」

「だから、私が誰に助けられたか知ってるんじゃないの?」

 バルジは首を横に振る。

「もしかして、バルジが助けてくれたの?」

「私ではない」

 即答で返って来たバルジの目を見れば、無理にジュジュを捉えているように見えた。

 それがなぜか嘘をついてるように思えてならなかった。

 ジュジュの瞳にも、その疑いの陰りが移りこんでいる。

 バルジはそれをしっかりと見ていた。

「ジュジュ、どうして助けて貰った人に拘るんだ?」

「私、その人にもう一度会いたいの。助けてもらった時に抱いた気持ちが忘れられなくて…… それできっちりとお礼もいいたいし」

「そっか、それじゃしっかりと探さないとな。これだけははっきりと言えるが、マスカート、ムッカ、カルマン、そして私では絶対にない」

 深みのあるブラウンの瞳はその時、揺らぐことなくジュジュを映し込んでいた。