8
朝の散歩で、外に出ていたモンモンシューは、冷たい森の空気が気に入ってあちこち飛び回っていた。
縄張りを荒らしたと見なされて、自分より大きなカラスに攻撃を仕掛けられたが、そこは負けられず、口から火を吐いて撃退していた。
小さい体であっても、ドラゴンには変わらない。
カラスが怯んで飛び去っていったことで、少し威厳を取り戻していた。
気分もよく、元気が漲(みなぎ)って、モンモンシューは森の深くまで入り込んでいく。
人間があまり踏み込まない神秘な森。
何が潜んでいるのかわからない怪しさもあるが、木漏れ日が差し込む緑の中はキラキラと輝いて、モンモンシューは好奇心たっぷりに夢中になって楽しんでいた。
繁みの葉や実を食べている小動物たちと時々すれ違えば、近くまで寄って挨拶し、小鳥達が小さな木の実をついばんでいると、それを真似して一緒に味わってみる。
すっかり森の住人になったように、モンモンシューは馴染んでいた。
だから、ふいに体を捕まれるなどとは考えられず、素早い動きで一瞬のうちに人間の手の中に納まっていた時は、モンモンシューも驚きのあまり呆然としていた。
ぎゅっと握り締められ、身動き取れない。
じろじろと自分を観察する、目の前にいる男を敵意を持った目で睨みつければ、男は優しい笑みを浮かべた。
「何も取って食おうとか思ってない。安心しろ」
モンモンシューの敵意はすぐに喪失し、目をパチクリして見ていた。
観察が終われば、モンモンシューはあっさりと解き放たれた。
すぐさま、素早く男から離れるも、急激においしそうな匂いが鼻をつき、その匂いの元をくんくんと鼻を動かしてその方向を見れば、干し肉が差し出されてた。
「遠慮せずに、食べていいんだぞ」
モンモンシューは迷いながらも、空腹には勝てず、動物の本能でそれに手を出してしまった。
引ったくってはすぐ咀嚼する。
また、もう一つ差し出され、二度目は若干落ち着いて手を出した。
「まだあるぞ」
沢山餌を提供され、モンモンシューはすっかり気を許し、危なくないと判断した。
「どうやらお前は、天空の国の麓に住むドラゴンだな。だが魔術がかけられているようだ。だから小さくなったのか」
自分にかけられた言葉など上の空で、モンモンシューは干し肉を満足げに食べていた。
「赤魔術か…… いや、また何かが違う複雑な魔術だ。魔術にしては不思議な粘りがあり、かなり強力でやっかいだ。これは魔術をかけた者しか元に戻せない。 しかし、急ぐこともないだろう。まあ、当分はその姿の方が便利に違いない。とにかくしっかりとジュジュ王女の側に居てやれ。それじゃ、また後でな」
踵を返すと男の長い髪がなびいた。
その後姿をモンモンシューはキョトンとして見送っていた。
朝の散歩で、外に出ていたモンモンシューは、冷たい森の空気が気に入ってあちこち飛び回っていた。
縄張りを荒らしたと見なされて、自分より大きなカラスに攻撃を仕掛けられたが、そこは負けられず、口から火を吐いて撃退していた。
小さい体であっても、ドラゴンには変わらない。
カラスが怯んで飛び去っていったことで、少し威厳を取り戻していた。
気分もよく、元気が漲(みなぎ)って、モンモンシューは森の深くまで入り込んでいく。
人間があまり踏み込まない神秘な森。
何が潜んでいるのかわからない怪しさもあるが、木漏れ日が差し込む緑の中はキラキラと輝いて、モンモンシューは好奇心たっぷりに夢中になって楽しんでいた。
繁みの葉や実を食べている小動物たちと時々すれ違えば、近くまで寄って挨拶し、小鳥達が小さな木の実をついばんでいると、それを真似して一緒に味わってみる。
すっかり森の住人になったように、モンモンシューは馴染んでいた。
だから、ふいに体を捕まれるなどとは考えられず、素早い動きで一瞬のうちに人間の手の中に納まっていた時は、モンモンシューも驚きのあまり呆然としていた。
ぎゅっと握り締められ、身動き取れない。
じろじろと自分を観察する、目の前にいる男を敵意を持った目で睨みつければ、男は優しい笑みを浮かべた。
「何も取って食おうとか思ってない。安心しろ」
モンモンシューの敵意はすぐに喪失し、目をパチクリして見ていた。
観察が終われば、モンモンシューはあっさりと解き放たれた。
すぐさま、素早く男から離れるも、急激においしそうな匂いが鼻をつき、その匂いの元をくんくんと鼻を動かしてその方向を見れば、干し肉が差し出されてた。
「遠慮せずに、食べていいんだぞ」
モンモンシューは迷いながらも、空腹には勝てず、動物の本能でそれに手を出してしまった。
引ったくってはすぐ咀嚼する。
また、もう一つ差し出され、二度目は若干落ち着いて手を出した。
「まだあるぞ」
沢山餌を提供され、モンモンシューはすっかり気を許し、危なくないと判断した。
「どうやらお前は、天空の国の麓に住むドラゴンだな。だが魔術がかけられているようだ。だから小さくなったのか」
自分にかけられた言葉など上の空で、モンモンシューは干し肉を満足げに食べていた。
「赤魔術か…… いや、また何かが違う複雑な魔術だ。魔術にしては不思議な粘りがあり、かなり強力でやっかいだ。これは魔術をかけた者しか元に戻せない。 しかし、急ぐこともないだろう。まあ、当分はその姿の方が便利に違いない。とにかくしっかりとジュジュ王女の側に居てやれ。それじゃ、また後でな」
踵を返すと男の長い髪がなびいた。
その後姿をモンモンシューはキョトンとして見送っていた。



