それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「あ、あの、私、ジュジュといいます」

 先ほどから客人といわれ続けることが我慢ならず、自分をアピールしだした。

 リーフは何気ない様子で、ジュジュを見る。

 「ジュジュ…… そういえばお互いの挨拶はまだだったな。私は……」 といいかけた後、少しの間が入り、気を取り直してから「リーフだ。すでに皆からそう呼ばれてるので、今更名乗っても意味はないが」と付け加えた。

「リーフ、実はお願いがあります」

「なんだ」

「どうかここで私を働かせて下さい。料理は得意ですし、掃除もなんでもします」

「申し出はありがたいが、それは断らせてもらう」

 リーフは迷うことなくすぐ決断する。

 こんなにもすぐに結果が出たことで、ジュジュのショックは大きかった。

 マスカートもムッカもあっけなく簡単に幕が閉じてしまって、唖然としてしまった。

「えっ、どうして? ジュジュの料理は最高だよ。ほんとに彼女はよく働くし、絶対勿体無い」

 問題を起こして、さっきまできつく叱られていたカルマンが軽々しくいうのは、誰しも違和感をヒシヒシ抱えたが、カルマンの言い分には同意しているので、誰も突っ込めなかった。

 寧ろ、そのようにリーフに反発できるのがカルマンだけなので、このまま言い続けて欲しいとも思ってしまう。

 カルマンに腹を立てる事も多いが、その一方で自分の言えない事を代弁してくれる恐れない態度を持ってる事も有難い。

 これがカルマンを心底憎めない要因の一つだった。

「ここは、危険な場所だ。そんなところにお嬢さんを働かせることなどできない。働き口を探しているのなら、この森から出て街で探すといい。それか、早く家に帰ることだ。家族もこんなところに居るとわかったら、心配するはずだ」

「お願いします。危険なのは充分承知です。でも私はここで働きたいんです」

「なぜ、そこまでして、この屋敷に拘る?」

「それは以前、ここに住む人に助けられて、その恩を返したいんです」

「ここに住む人に助けられた? それは誰だ?」

 疑問に満ちたリーフの目つきが細くなる。

 ジュジュは困ってしまった。

 それが分かれば自分だって苦労はしない。

 どのように説明しようかと考えているときカルマンがまた口を挟んだ。

「そんなの、僕たち4人に決まってるじゃないか。この森には色んな人が迷い込んでくるし、確かに僕たちはジュジュを助けた」

 カルマンが言い切った後、マスカート、ムッカ、バルジもびっくりしたが、ジュジュも当然驚いた。

「カルマン、それは本当か?」

「ああ、皆ははっきりとは覚えてないかもしれないが、僕は確かにジュジュを見た事がある。ジュジュに会った時、初めて見た気がしなかったんだ」

「見た事がある?」

 リーフは眉根を寄せ、訝しげになる。

 マスカートとムッカは、あやふやな事柄を堂々と言い切るカルマンの態度に潔さを覚えながら、ハラハラして見ていた。

 バルジだけは牽制するようにカルマンを見つめていた。