それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?


「私がここに来たせいで、騒ぎを起こしてしまいましたことを、深くお詫びします」

 ジュジュは丁寧に頭を下げ、目の前の人物を恐れようとも、自分を見失わない礼儀だけは忘れなかった。

 服はありきたりのものだが、ジュジュの優雅な身のこなしと振舞いは、気品高く見え、そこに居たもの全てが知らずと見入っていた。

「何も客人が謝ることはない。失礼をしたのはこちらだ」

 リーフはカルマンを睨み、すべきことを暗黙で強制した。

 カルマンはしぶしぶとジュジュに向いた。

「ジュジュ、ごめん。怖がらせるつもりも、酷いことをするつもりも全くなかったんだ。あれはその、なんというのか、君を喜ばせたかったんだ」

「あれが喜ばせようとする者がすることか」

 どこまでも悪ふざけのような態度に、ムッカは我慢できずにぼやいてしまった。

 その気持ちはマスカートも同じだった。

「もういいわ。私も何か誤解させる行為をしたのかもしれない。確かに赤いバラをプレゼントされた時は嬉しかった。あの行動がそれの延長線にあったとしたら、私にも非があるのかも」

「ジュジュには全く落ち度はない。全てはカルマンが……」

 マスカートが言いかけるが、前夜に自分達が話し合った事柄が胸に引っかかり、カルマンの取った行動が自分達にも責任があるように思えてしまった。

 自分もせざるを得なかった理由はあるとはいえ、ジュジュに突然抱きついてしまったし、それに影響されて、カルマンが何かを企んだことも否定できない。

 そんな部分を口に出す事もできず、マスカートは複雑な心境に黙り込んでしまった。

「とにかく、カルマンも反省してるし、済んだことです。この件は忘れましょう」

「ジュジュがそういうのなら、僕は構わないよ」

「馬鹿! どうしてお前はそうシャーシャーとしてるんだよ」

 ムッカに怒られても、カルマンは全くお構いなしだった。

 マスカートも側で見ていたが、自分は色々と思いを巡らせて悩んでいるというのに、良心の呵責にも悩まされないカルマンが恐ろしく思えてしまった。

「いい加減にしないか。客人の前でこれ以上の失態を慎め」

 リーフの一言で、その場はまた凍りついたように冷え冷えとした空気が流れた。