それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 自分はまだ寝巻き姿のままで、この屋敷の主と話さなければならない。

 こんなタイミングの悪い時に、良い話ができる訳がない事は、充分承知だった。

 それでも、一応染み付いた王女の意地として、落ち着きを払い、堂々としてモンモンシューを受け取った。

「中々面白い生き物だ。そして君も肝が据わってるとみた」

 モンモンシューを受け取った時に、手に持っていたシーツがはらりと落ち、ジュジュは寝巻きをさらけ出していた。

「ありがとうございます」

 来ていたものは寝巻きだが、洗練された見事なお辞儀を返し、気品でその場を繕う。

 この時、リーフはそのギャップにクスッと笑いを洩らした。

 それを誤魔化すために咳払いをし、そしてジュジュに背を向けた。

「とにかく、着替えを先に済ますがいい。その間に何が起こったのか、この四人の男達から聞いておく」

 リーフが威厳を持った歩き方で部屋を出て行く。

 その後をバルジが忠実な犬のようにすぐに続き、そしてムッカも、ヤバイと顔を顰めて後に続いた。

 カルマンは未練がましくジュジュを見つめ、何かを言おうと口を開きかけたが、マスカートに耳を引っ張られ、代わりに「イタタタタタッ」と叫んだ。

「懲りない奴だな。早く来るんだ」

「痛いよ、マスカート」

「何が痛いだ。お前のせいで、話がややこしくなりそうだというのに、反省の色もないのか。一体何からリーフに話せばいいかわからなくなっただろうが」

「あ、あの、マスカート、私は一体どうすれば」

 ジュジュは咄嗟に質問する。

「何も心配する事はないと思う、多分……」

 自信なさげに、苦笑いしながらマスカートが答えると、余計にジュジュは不安になった。

「とにかく、着替えて広間にくれば、何もかも解決するよ。大丈夫だから」

 シャーシャーと悪びれることもなく、何事もなかったように振舞うカルマンにマスカートは殺意を覚えるくらいだった。

「お前が一番事をややこしくして、ジュジュを苦境に陥れてるんじゃないか。つべこべ言わず、早く来い」

 二人は部屋から出て行くと、ジュジュは力が抜けるようにベッドに腰掛けた。

 床には踏みつけられて散らばったバラの花びらが、まるで赤い血のように鮮烈に横たわっていた。

 容赦なくリーフが踏みつけた時、少なくともジュジュはその残忍さに怖いと怯んだ。

 油断のならない人物。

 今はリーフと面と向き合う事が怖く思えてしまう。

 もしかしたら自分を助けてくれた人かもと期待をしていたことが嘘のように、その希望もすっかり砕かれていた。

 その側でモンモンシューが心配そうに飛び交っている。