それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 手にしたバラをまじかで眺め、そして鼻に近づけ軽く匂いを嗅げば、優しい匂いにうっとりしてしまう。

 殺風景で色の無い部屋に、その赤いバラは際立ち、香りが夢の世界へ誘(いざな)う魔力を帯びてるようだった。

「とても綺麗だけど、この屋敷にバラなんて咲いてたかしら?」

 どこで手に入れたのか、自分のために持ってきてくれた美しい花。

 それは女性なら素直に嬉しいと感じ、喜ばしてくれるものだった。

 赤色は希望が湧くように、力を与えてくれる魅力がある。

 例え一輪の花が部屋にあるだけで視覚と嗅覚が働き、心は落ち着く。

 カルマンの心遣いは確実にジュジュの心に入り込み、自然と顔が綻び笑顔になっていた。

「それにしても、見事な赤。浮き上がって見えるようだわ。そして香りもいい」

 うっとりと見つめていると、リラックスし、ついでにあくびまででてしまった。

 ジュジュは花瓶を枕元の近くに置き、そして手元のランプの灯を消してから、ベッドの中へ潜り込む。

 その後、眠りに落ちるまでそんなに時間が掛からなかった。

 暗闇となった部屋は、闇に包み込まれてその姿を消すはずなのに、赤いバラだけがその場所で妖艶に発色していた。

 まるでそれ自身が光を出しているように、それはジュジュが眠りについた後、さらに赤さが増して闇を赤く染めていき、芳しき匂いも、部屋一杯に充満していく。

 それはジュジュが体で感じ取った感覚が夢の中で誇張されただけかもしれない。

 それのお蔭か、ジュジュは気持ちよく熟睡していた。

 やがて夜の暗さが薄まって朝が近づきかけてくる。

 森の中の鳥達が囀(さえず)りだし、一日が始まる準備に取り掛かってあちこちでざわめき出した。

 真新しい光が徐々に強さを増していく中、生き物も植物も目覚めて姿を現し、屋敷もまたスポットライトに照らされるように朝日を浴びた。

 辺りがすっかり明るくなり、ジュジュの部屋にも光が届き、眩しい光がジュジュにも浴びせられた。

 モンモンシューはそれが邪魔で、光に背を向けるように寝返りを打ち、そのまま睡眠を続ける。

 枕元でごそごそと動かれ、ジュジュはそれに反応し、眠りから覚めて目が開いた。

 まだぼやけた視界と混乱している頭では瞬時に体は反応してくれないが、視界に飛び込んできた予期しなかった光景に、ジュジュはびっくりして飛び上がった。

「おはよう」