それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 見られては困るものを排除した後、取り留めもなく話は色んな方向へ進んで、要点を得なくなっていた。

 皆どこかで化けの皮がはがれることを恐れ、隠したい事を深層心理のように奥深くしまい込んでいる。

 そんな時にそれらに係わる心配事や疑問がでてくると、皆思い思いの考えの中で溺れてしまうのだった。

 次から次へと出てくる問題と心配事。

 ジュジュが係わったことで明らかに影響が出ていた。

 ジュジュがこの屋敷で働いてくれる事は素直に嬉しいが、そのせいで不安な事も増えて行く。

 本当にやっていけるのか、隠したい事は隠し通せるのか。

 この屋敷には公にできない、いや人には絶対に知られてはならない、いくつかの秘密が存在している。

 それは一人一人が個々に抱えていることもあり複雑に絡み合っていた。

「ねぇ、皆、ジュジュがここに来た以上、これはもう解決策の一つとしてやるしかないと思うんだけど、ジュジュにはこの中の誰かに惚れて貰うしかないと思う。そうすれば、ジュジュは僕たちの仲間になるんだから。もしものためにも是非ともそうなってもらわないと」

 もしものために──。

 この一言が、弱みとなってカルマンのアイデアが得策と思えてしまう。

「そういえば、ジュジュは可愛いし、料理も上手いし、色々と気がつく子だよな。振舞いもどこか物腰柔らかく、上品だ。時折ふと見せる表情も気品がある」

 ムッカがぼそっと言った。

「確かにジュジュは柔らかく、抱き心地は悪くなかった…… コホン」

 マスカートまで正直な感想を言ってしまう始末だった。

「だったら決まり。ジュジュは一体この中の誰を選んでくれるんだろうね。なんか僕楽しくなってきちゃった。こういう楽しみがあっても罰はあたらないと思うよ」

 まるで楽しくゲームでもするように、カルマンは楽しんでいた。

「私は、反対だ。ジュジュは玩具じゃない。そんな事を考えるのなら、ジュジュにはこの屋敷から出て行ってもらう」

 普段は皆が決めたことに反論もせずに従うバルジが、反対した。

「別に、バルジに参加して欲しいとは僕たち思ってないよ。それにジュジュは誰に助けて貰ったのかはっきりとわかるまでは、絶対にこの屋敷から出て行かないと思うよ」

 バルジはいつになく露骨に気持ちを害し、強くカルマンをにらみつけると、無言で去っていった。

 マスカートもムッカも何か言おうとしたが、バルジの後姿から怒りを感じて、言葉を引っ込めてしまった。

「あのバルジが怒った。今日のバルジはいつものバルジらしくないというのか、どこか変だ」

「放って置いても大丈夫だよ、マスカート。バルジは自分が何をしてるか一番わかってると思うよ。多分、バルジは本気でジュジュが気に入ってるんだと思う。 自分でも戸惑ってるのさ。あんなミスを犯すぐらい、気をとられていたんだから。ジュジュのことに関しては繊細になってるんだよ。ジュジュが僕たちの中の誰かを好きになるのが気に食わないだけなんだと思うよ」

 カルマンの説明にマスカートは全面的に同意できず、ただ小さな溜息を吐いて返事を誤魔化した。

 その側で、ムッカは苦虫を噛んだ様な顔をして困惑していた。

「二人とも、そんなに気が乗らないなら、僕はガンガン攻めさせてもらう。奥の手も使っちゃおうかな」

「おい、その奥の手ってなんだよ」

 ムッカが突っ込んだ。

「それは秘密。それじゃ僕はこれで寝るよ。なんか今日は疲れたな」

 カルマンは両手を上げ、伸びをしながら階段をさっさと上って去っていった。