それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「はっきりは思い出せないんだけど、どこかでみたような気がするんだ」

「私達は色んな人と出会い、有名なこともあり結構顔を知られている。町に行けば向こうから声を掛けてくる輩も多い。すれ違ってる可能性もあるのかもしれない」

 マスカートが答えた。

「または、助けた誰かの知り合いで、話を聞いて私達に憧れて適当に嘘をついてる可能性もある」

「えっ、バルジがそんな事を言うなんて、らしくないな。それにジュジュは嘘をつくような子じゃないのはバルジが一番感じ取ってるんじゃないの?」

 カルマンに突っ込まれて、バルジは黙ってしまった。

 全くその通りだった。

 自分の軽はずみな発言がこの時になって恥と思ってしまう。

「とにかく、俺達は沢山人と出会い過ぎたという事もあるし、もしかしたらその時と今の風貌が違っているから思い出せないだけかもしれない。実際覚えてないだけで、まとめて団体さんを助けたときに紛れていたのかもしれない」

 ムッカは心当たりがないか必死に考え込んで、顔を歪ませていた。

「確かに沢山の人と係わったが、一人一人全てを間違いなく思いだせるかとか言われたら、無理だ。大概忘れた分類にカテゴライズする方が早い」

 マスカートも、自分の記憶力には自信なかった。

「だけど、ジュジュの言ってることが正しいのなら、一体誰が助けてここに連れてきたんだろう?」

 カルマンも腕を組み首を傾げていた。

「ま、まさか……」

 考え込んで首をうな垂れがちだったマスカートが、突然はっとして顔を上げると、ムッカも何を意図するかすぐに気がついて目を見開いた。

「まさか、それはないって。絶対ありえないって。アイツがここに入って来られる訳がないじゃないか。それにそうだとしたら、ジュジュはそいつが好きってことになるぞ。そんな恐ろしい事、あってはならない」

 ムッカはいかにもおぞましいと体を震えさせた。

「それは僕もありえないと思う。リーフが絶対にこの屋敷に近づけさせないだろうし、アイツだって立場をわきまえてるだろう。だって敵なんだから」

 カルマンも手をヒラヒラさせて否定した。

「アイツの話はやめよう。変に姿を現しそうで縁起悪い」

「なんだよ、言いだしっぺはマスカートの癖に。だったら始めから変なこと言うなよ」

 マスカートの思いつきで振り回されたムッカは少し気分を害していた。

「すまない。すまない。それにしても、本当にジュジュを助けた奴がこの屋敷にいるのか?」

 また話は堂々巡りとなり、どう考えても誰もジュジュに関することが過去の記憶と結びつかなかった。

「こうなったら、いくら考えてもわからないんだからさ、このままジュジュの夢を壊さないように、僕たちが助けたという事にして、この中の僕たちの誰かに惚れてもらえばいいんじゃないの? これも人助けにならない? ジュジュは中々かわいいし、僕は結構好みだから、惚れてもらったら嬉しいな」

「カルマン、これは遊びじゃないんだぞ」

「マスカートは、過去の女の事で引きずってるからって、ネガティブだな。本能ではあんなにジュジュを羽交い絞めにする程抱きしめてたのに。あの時、ムラムラしなかったの?」

「おい、なんてことを言うんだ、いい加減にしろ!! その減らず口を縫ってしまうぞ」

「男同士で何を恥かしがってんだよ。こういうときこそ、リハビリだと思って過去の嫌な思いから抜け出すときじゃないか。今克服しないと、一生後を引きずったままで惨めなままだよ。もしジュジュがマスカートを好きになったら、過去の呪縛から解き放たれるんだ。マスカートだって、ジュジュの事悪くないと思ってるだろ? 抱きしめた時の事もう一度思い出してみたらどう?」

 カルマンに言われるとマスカートはジュジュを抱きしめた時の感触を思い出し、そしてジュジュからも抱きつかれた時の事が咄嗟に浮かんだ。

 確かにジュジュ は普通の女の子とは違う無邪気さがあり、それがとても心地よく好感が持てる。

 カルマンの言い分も一理あるように思えるから、自分でも訳がわからなくなって いた。

「カルマン、黙れ。お前が何かいうと、話は脱線し、訳のわからない方向へ行くんだ。一体俺達何話してるんだよ」

 ムッカの一声で皆我に返った。