それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「私とて、完璧じゃない。時には忘れる事もある」

「しかし、一番アレに神経使ってるバルジが……」

 マスカートのしつこさに、バルジは眉間に眉を寄せ、鬱陶しがった。

「リーフが留守だから少し油断してしまった。本当にすまない」

 バルジが潔く頭を下げるが、それでも何かが引っかかりマスカートとムッカは困惑したままだった。

「バルジが素直に謝っているのに、なぜ二人はそれを受け入れてやれないんだ。バルジだってたまにはミスを犯す事もあるさ。あー、わかった。二人はこれ見よがしに、バルジを責めたいってことか」

「違う。別に責めてるわけではない。ただ信じられないだけだ。それほどありえない出来事にびっくりしてるだけさ」

 マスカートは強く否定し、いい訳するが、しつこくバルジに問い質せば、結局は責めてることと変わらない。

 バルジにしてはあまりにも初歩的なミスだが、ジュジュがやってきたことで何かが狂ったと思えば辻褄が合う気もする。

 特にバルジはジュジュを手助けし、モンモンシューも可愛がっていただけに、一時的に気が緩んでいてもおかしくはなかった。

 バルジは全ての責任を取るつもりで、深々とマスカートを見つめていた。

「わかった、もういい。ジュジュもこの屋敷の恥かしい事情として深く追求してはいけないと察してくれた。この件についてはうまく誤魔化せたってことだ。とにかくこれからは気をつけるんだ」

「ああ、わかった。気をつける」

 どこかほっとしたような安堵の気持ちが、バルジの目つきを少し和らげた。

「だけどさ、ジュジュが居ると、皆何かいつもと違う影響を受けてるんだよ。マスカートもさ、どさくさにまぎれて大胆にジュジュに抱きついてたしさ、悪いことばかりでもないじゃないか。少なくともマスカートは得したね」

「カルマン、いい加減にしろ。あれは咄嗟の行動がああなっただけで、別に下心をもってジュジュを襲ったわけではない」

「何も襲ったとまではいってないよ。理由はなんであれ、久々にかわいい女の子を抱けて羨ましいなって思ったまでさ」

「お前はそんないやらしい気持ちでジュジュを見てるのか?」

 ムッカが呆れてカルマンの頭をこついた。