それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?


「一体、誰があそこにアレを置いたんだ?」

 自分達の部屋に向かう途中、マスカートが先に二階に続く階段を上ろうとしていたムッカとカルマンに問い質した。

「俺だって、知らないよ」

 ムッカが怪しくカルマンを一瞥した。

「なんだよ、僕がやったっていいたいのかい? 僕じゃないよ」

「マスカートでもなく、俺でもなく、カルマンじゃなければ誰だよ。バルジがあんなミスする訳ないし」

 ムッカはやはりカルマンを怪しげに見ていた。

「バルジは全く疑われないのに、僕だけは簡単に疑われるなんて、その差はなんだよ」

「だって、カルマンはこの屋敷でコソコソなんかしてるし、立ち入り禁止のリーフの書斎に入ろうとして見つかって怒られたこともあるだろ。全てにおいてだらしないんだよ。それに比べバルジは人一倍用心深く、ミスはめったにしないからさ。リーフだってその点は一目置いてる。この四人の中で一番信用おけるからさ」

 マスカートが補足した。

「いや、あれは私が悪い」

 片づけを終えたバルジが三人の後ろから現れた。

「えっ、まさか……」

「マスカート、本人が白状してるのに、まだ信じないのか。僕とはえらい違いの待遇だな」

「そんなの当たり前だろ。カルマンはいい加減だからさ。だけどバルジがあのままにしておくなんて俺も信じられないぜ」

 ムッカは不思議そうに首を傾げる。

「すまない。まさかあの部屋を使うとは思わなかった。あそこは日当たりがいいし、虫干しするには都合がよかった」

「だけど、ジュジュをあの部屋に連れていく時点で、気がつかなかったというのもなぁ」

 マスカートも違和感を覚え、怪訝な表情だった。