それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「その、なんていうのか、ちょっとジュジュには見られたら困るものがあったってことなんだ。本当にごめん」

「一体なんだったんですか」

「うーん、なんていうのか、男として、あれだあれ、その、ちょっと恥かしいものだったんだ。ごめん、これ以上はどうか許して欲しい。本当にごめん」

 困り果て、狼狽しきってるマスカートの姿を見ると、ジュジュはそれ以上問い詰める気が失せた。

 元はといえば、勝手に自分が押し掛けたから、このようなことを引き起こしてしまった。

 厚意で部屋に案内してもらい、そこに見られて困るものがあっただけのこと。

 マスカートにしてみたら、慌てただけに違いない。

 それを責める資格などないと気がつくと、ジュジュも申し訳なくなってしまった。

「ごめんなさい。あまりにも突然なことだったから、ついびっくりしてしまって。私がとやかく言えることではなかったです」

「いや、そ、そうでもないんだけど、承諾を得ずにジュジュを抱きしめてしまった事は、これは男として恥かしいことだ」

 抱きしめる行為にわざわざ承諾を取ってするものなのかと思うと、ジュジュはなんだかおかしくなった。

 父や母、家庭教師のエボニーやカーラ、世話係の人達には自ら抱きつく癖があるだけに、承諾など必要ないことくらいジュジュもわかっていた。

 それは時と場所、目的にもよって意味は違ってくるだろうが、それよりも、そういう言葉がでてくること自体、マスカートの人柄が見えるようだった。

 この人は真面目で、筋道を立てる人だ。

 ジュジュは咄嗟に機転を返し、そしてマスカートに近づいて自ら抱きついてみた。

「色々と気を遣ってくれてありがとうございます」

「ジュジュ……」

「私も承諾なしに抱きつきました。これでおあいこですね」

 マスカートの肩の力が抜け、これ以上詮索しないジュジュの気遣いが心地よく感じた。

 ここで抱きしめ返すべきか、悩み、手が中途半端な位置で往生する。

 そうしているうちに、ジュジュが離れてしまった。

 ジュジュのあどけない瞳、無垢な笑顔を目の前に、マスカートは暫く考えてしまう。

 何を言っても全てを受け入れて許してもらえそうな広い心を持っているように思え、つい甘えてしまえたくなった。

「ジュジュ、私達は……」