それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「いや、ちょっと、その、なんていうのか、あの」

 要領を得ない、誤魔化した言い方をしながら、マスカートはランプを再び手にして、そして一度部屋の外にでた。

 暫くして入ってきた時、マスカートはすっかり落ち着きを取り戻していた。

 火が灯ったランプを手にし、部屋の中のランプにも火を灯していった。

 部屋はすっかり明るくなり、中の様子がはっきりと見えた。

 先ほどの失態がなかったことのように、無理に平常心を装い、思いっきり笑顔を見せては、「中々いい部屋だろ」とジュジュに尋ねた。

 実際部屋は悪くはなかった。

 シンプルだが、寝心地よさそうな大きめのベッドが備え付けられ、物をしまう最低限の家具もあり、きっちりとした印象があった。

 外に続く大きな吐き出し窓もあり、自由に外に出られる開放感も感じられ、部屋はとても広々としていた。

 しかし、今は部屋の事よりも、なぜマスカートが変な行動をしたのかを、ジュジュは問い詰めたくてたまらない。

 誤魔化そうとしているマスカートに敢えて挑んでみた。

「説明して下さい」

「えっ、何を?」

「何をって、先ほど、思いっきり抱きしめて床に倒れこんだじゃありませんか」

「あっ、あれか、あれはその、なんていうのか、事故だよ、事故。ご、ごめん」

「私には故意としか思えませんでしたが」

「いや、ほんとにごめん。でも……」

「でも、なんですか」