「今はねえ、だいたいの人がそう思ってくれるけど、社長になったときはそうじゃなかったよ。変なのが来た。あっち行けとか。小さいとか、見えないとか。ひどいこと言われてね」


「はあ」


「はあじゃなくて。さあ、分かったろう?」総長が、それ以上、アホなこと言うなとばかりに、たまらず口を出す。


「何がですか?」
お言葉ですが、さっぱりわかりません。

社長は、にこやかに答える。

「自分に合わないとか、無理だっていう仕事は、まず、どこかに不安要素がある。真っ先にそれを何とかしなさい。辞める辞めないは、それからです」


「えっと……」何も言い返せない。


「最初っから出来てしまったら、つまらないじゃないの?ステップアップしてできるようになってこそ仕事って面白くなるんじゃない?」


「はあ」
この社長は、小さいくせに言うなあ。
何も言い返せないや。