月島さんが、言うことは大雑把で不親切だ。
でも、彼なりに元部下の私を心配してくれる。
大らかでいい加減で、懐が深くて何でものみ込んでくれる。
だから、居心地がいいのかな。
私は、思い切って胸に抱えてきたことを打ち明けた。
月島さんになら、話せるかもしれない。
私は、憶測ですけどと断って言う。
「営業部の誰かがわざとシステムの信頼性を揺るがして、新しいシステムに移行できなくしようと考えてるんじゃないかという可能性もある気がします」
月島さんは、大笑いして私の考えを否定した。
「お前さあ、考えすぎだろう。というより、仮にそうだとして、どうするんだよ」
「どうするんだと言われても」
確かに、私は実体のないことにいろいろ悩まされてるだけかもしれない。
「そりゃ、会社のやり方が時々、理不尽だと思うこともあるさ。でもな、会社にだってそうしなきゃ従業員抱えて生き残っていけなくなるかもしれないだろう?」
「まあ、そうですけど」
「新しいことをは決めるときには、そう言った不満をぶつけてくる社員もいる。そんなのをまともに相手にしてる暇はないぞ」
確かにそうだ。
物事を考えすぎると、先が見えてこなくなるのかもしれない。
「私、月島さんみたいに、面の皮が厚くないです」
「それは、余計なことだろ」


