「私には人事権はないのよ。男女の関係になったって、思い通りにはならないわよ」
私は、後悔した。
首なんか突っ込まないで、課長に任せればよかったのだ。

「ん、分かってるさ。でも、希海ちゃん抱きたいっていうのは本当だから」

「会って間もないのに、何てこと言うのよ」

人事の社員として会ってなかったら、とっくに席を立っている。

「これが、初めてじゃないぜ。講習会で一度会ってる」

「講習会って、ほんの少しの間じゃない。それに、ほとんど別の社員が講師をしてたし」

「講師の顔なんか見てられるかよ。ずっろ、俺、希海ちゃん見てたよ。それに、君が一番話を聞いてくれそうだった」


「それで私宛にコメント書いたの?」

「まあ、割と人事担当者が後で連絡くれるって知ってたから。好みと実益を兼ねて。書いてみて損はないかなと思った。」