都会の喧騒から離れた小路は、ひとと自転車くらいしか通れない細さ。両脇には、いかにも町屋といった家屋がひしめきあっている。古い木の濃い茶色が、視覚的に心地よい。 甃(いしだたみ)のような地面に、ぼんやりと電線が影を落としている。いくつかの細い線が五線譜のようだ。僕はちょうど“ミ”の位置に足を伸ばし、大きな五線譜を跨いだ。 ――否、“跨ごうとした”。そう、確かに。