「まさか、“あの”後月湊さん?!」 目の前の少女――NANAさんは、身を乗り出してそう言った。 (……ち、近い……) 憧れの少女がこんなにすぐ傍にいて、しかも目の前に顔が――……自分で自分が赤面するのがわかる。 その距離、約30センチ。 「ごっ、ごめんなさい、おっきな声出して……!」 NANAさんは口元を押さえて言った。