震える背中があまりにも小さく見えた。 強がって見えた。 それが無性に切なくて、気が付いたら彼女を抱きしめていた。 『僕じゃ、駄目ですか』 自分でも驚くくらい、自然に出てきた言葉。 その瞬間、彼女は身体を強ばらせた。 『くゆりさんが、好きです』 彼女――NANAではない、“森園くゆり”というひとに出逢ったのは昨日が初めてだったけれど、この気持ちに嘘はない。回す腕に、力がこもる。