楓とは家の方向が真逆なのでいつも校門を
出たところで別れる。

「じゃあねー。」

『おぅ。またねー!』

私は西中出身だから黄星町のだいぶ西に家がある。

いつもの坂道を下って横断歩道を渡ろうとした。

何、痛い。 膝が痛んだ。

バスケのせいなのかな。

そう思ったその時。

ペダルから足を踏み外した。





危ないっ!!!!!!






ーーキイィ…!!ドン!





トラックのブレーキ音。
車と接触した体の音。


私を迎え入れたのは
冷たくてかたい黒のコンクリートだった。




ただただ痛む頭。
雨のせいで開かない目。
ほんのわずかな血の匂いと味。
遠くに聞こえるサイレン音。
叫ぶ声と駆け寄ってくる足音。





終わったー。 そう思った。