「加奈ッッ!」

中身のない鞄をだらしなく提げ帰ろうとする加奈を、結衣華が引き止めた。
「駅前においしいケーキ屋さんあるんだけど、行かない?」
笑顔で言う結衣華を遮り、加奈は申し訳なさそうに言った。
「悪いけど...用事あるんだ。またね。」
それだけ言うと、加奈はタルそうに二人に背を向け帰っていった。
取り残された結衣華は、つまらなさそうに言葉を吐く。
「ぶー。なんか加奈、最近付き合い悪くない?」
そして席に座ったまま動こうとしない梓を、同意を求めるように見た。
そんな結衣華とは反対に、梓は静かに口を開く。

「仕方ないんじゃない?今日でしょ、アイツの命日―――...。」


結衣華の笑顔が崩れた。