恐る恐る教科書を裏返してみると、そこには確かに圭吾の名前が書いてあった。 ―――やっぱり。 「圭――...!」 加奈が謝ろうと声をかけると、圭吾は加奈の方を向いて手をあわせた。 「悪ぃ、教科書見せてくれへん?」 「...圭吾。」 そのわざとらしさが嬉しくて、加奈の胸を締め付ける。 「しっ、仕方ないなぁ!」 圭吾の優しさを一杯に感じながら、加奈は机を寄せ、微笑んだ。