現場からして明らかに他殺なのに、証拠が何一つ上がらない。

他校だったからこの学校には何も影響はないけど、榊さんは少し不安を感じていた。

男子高校生は、シオリさんの小説で亡くなった男子によく似ていたからだ。なんと、死に方も全く一緒。


『ただの偶然ですよ。その時私は、先輩と一緒に授賞式に出ていたじゃありませんか。それに他校の男子でしょ?動機だってありませんよ』


シオリさんはそう言っていたけど、榊さんは少し気になっていた。


(あいつに出来るわけないけど、こんな偶然あるだろうか?)


そしてまた数日後、シオリさんの小説と同じ死に方をした子がまた出た。

その後も、どんどんシオリさんの物語と同じ死に方をしていく学生は出続け、その数はなんと三十人を超えた。

さすがにこれはおかしい。そう思った榊さんは、シオリさんについて調べてみた。


(よく考えたら、私はシオリの事をあまり知らない。凄い作品を書く文芸部の後輩という事しか分かってない。
―――昔のシオリの姿を見れば、何かわかるかも!)

シオリさんは出身中学が榊さんの友達と同じだと聞き、 取り敢えず彼女の時代の卒業アルバムを借りて見てみた。


『!』