[物語殺人]




語り手:四年雪組、月ヶ瀬 舞琉(つきがせ まうる)




「四年雪組の月ヶ瀬 舞琉です。


怪談っていうのは身構えしないで落ち着いた方が楽しめるからね、怖いのは分かるけど、そう力まないで。
……いいかしら?

私の担任は榊 颯馬(さかき そうま)先生。これは皆知ってるよね。で、颯馬先生の妹さんは今高校生で文芸部に所属してるらしいの。これはその妹さんから聞いた話なんだけど―――




先生の妹さんの後輩の名前はシオリさん(仮)。

彼女の書く作品はミステリー、ファンタジー、純愛……どれをとっても本当に上手で、いろんなコンテストで何度も受賞してたの。


『いやー、凄かったよ。びっくりした。一年生なのに私より良い作品書くんだもん』


先生の妹さん、榊さんも舌を巻いてた。

そしてある日、シオリさんが


『新しいジャンルを書きたいので、もし宜しければ榊先輩、アドバイスや指導の方お願いします』


と榊さんに申し出た。


『良いよ。どんなの書くんだ?』


幾つも賞をとっていたシオリさんなら、どんなジャンルにチャレンジしても良い物が書けるだろう。そう思った妹さんは、快く承諾したの。


『ホラーです』