[プラス、一人]




語り手:五年雨組、苫前 刹邏(とままえ せつら)





「はいはーい!苫前 刹邏だよっ☆いらっしゃい、新入生さん!

いやー、こんなに可愛い女の子が来てくれるなんて、嬉しいにゃー♡♡♡えへへ、ボク、可愛い子には目がないの〜。あ、でも恋愛対象は異性、男の子だからね!

ビアンじゃないから!ただの健全な百合好き女子だからね!……いや、襲ったりしないから!襲わないから!逃げないでー!


……こほん、さて、本題の怪談話に入ろうか。コレはボクの友達のマジモンな体験談なんだよ―――



友達の名前はニナ。当時小学三年生。

ニナのクラスメイトは全部でちょうど三十人。不登校の子も保健室登校の子もいない、皆仲良しで、誰もが羨む笑顔の耐えないクラスだった。

その日は、男女混合での体育の授業で、体育館でバスケをしていた。

チームを六つに分けるため、ジャンケンでうまく分かれた……はずなんだけど……


『あれ?ニナのチーム、一人多くね?』

『は?何言ってんの、たつや。うちのクラス三十人じゃん。五×六=三十なんだから、バスケチーム作るのに余るわけないでしょ?』

『いや、でも六人いるだろ……』

『えー?』


ニナはチームのメンバーを指差確認で数えた。


『一、二、三、四、五、六……あれ?』


自分を含めた正しい数を数えた筈なのに、チームには六人いる。他のチームはどこも五人編成だから、一人だけ余る訳ないのに。


『マジだ……』

『何これ?!お化けの仕業?!』

『でも、知らない人いないよね?』

『えー……何この状況……どうすんの?』


仕方が無いので、ニナを補欠にして試合は始まった。


『あーあ、つまんない。せっかくのバスケの授業なのに……』


ニナはバスケ倶楽部所属だったから、体育でバスケがある日は大活躍出来たのに、この謎現象のせいでそれを奪われてしまった。

得点盤の後ろにあるステージの端に腰掛け、ニナはチームを応援しつつ、暇そうに脚を揺らしていた。


『痛っ!』


ニナのチームから、一人の女の子が悲鳴をあげた。


『ひかりちゃん?!どうしたの?!』

『う、腕、腕が……』


ニナの元にひかりが半べそをかきながら戻って来た。

ひかりの腕には、誰かが強く掴んだ様な手形が付いていた。


『な、何これ……』

『うわ、痛そ〜……ひかり、大丈夫?』


試合は一時中断され、味方のチームも敵のチームも集まって来た。

仲間に何かあれば真っ先に駆けつける。これがこのクラスの良いところである。


ドン!!!


『『『!?』』』


天井から何かが壊れる様な音がした。