あたしと朝比奈さんの問題に巻き込まれたと言うのに、伊勢谷さんはあたしを責めようとしなかった。

本当だったら怒られて、責められても仕方がないはずなのに…。

「本当にすみませんでした。

彼にはよく事情を説明して、もう2度とこんなことが起きないようにします」

もう1度頭を下げたあたしに、
「うん、もういいから。

何回も謝られると、もうどうすればいいのかわからないから」

伊勢谷さんは苦笑いをしていた。

本当にいい上司を持ったなと思いながら、あたしは頭をあげた。

「とりあえず、仕事に戻ろう。

各務原さんにもちゃんと事情を説明しようね」

そう言った伊勢谷さんに、
「はい」

あたしは首を縦に振って返事をすると、一緒に職場の方に戻った。