Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

オペ室には独特な空気が漂っている。



バイタルを示すモニターの音。

壁の中央に備わっている経過時間を示す大きなデジタル時計。

その近くの壁にある普通サイズの丸い針時計は時刻を表している。




オペ室にある時計類は全て電波式ではなく電池式だ。


オペ室内の機械に不要な影響を与えない為である。


「終了、あと縫合しておいて」


縫合は残りの医師に任せてオペ室をあとにする。


「「「お疲れ様です」」」


ドアの前に立つとウィン、と自動でドアが開いた。


これも不用意にものを触らない為。


オペ室は徹底して清潔にしているけど念には念を、ということだ。


言い忘れていたことを言う為、1度ドアの外で立ち止まる。


まぁ、言わなくても分かることではあるが。


「縫合終わったら元の病室へ。

目が覚めたら絶対に何も食べないで、とキツく言っておいて」


何度もこういうことがあっては堪ったものじゃない。


言い終えるとちょうどドアが閉まった。