Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

pipipi…。


部屋の隅、目立つところにあるモニターの305号室が赤く光った。


つまり急変。


「ちょっと行って来る」


「行ってらっしゃーい」






病室へ入り様子を伺う。


「先生っ。

すみません、主人ったら絶食してなきゃいけないのにご飯食べたみたいで…。

本当にすみません、私が少し目を離した隙に…」


患者の奥さんが申し訳なさそうに頭を下げる。


「あとでにして、時間ないから。

緊急でオペする、まず処置室運んで」


「はいっ」


どうして禁止されていることをする訳?


食べたら命に関わる可能性があるって説明した筈なのに。


理解出来ない。


いや、理解したくはない。


イライラしながら処置室へ向かって走る。