「彼女、医学界では機械って呼ばれてるの」


「機械ですか?」


「常に無感情、無表情だからね」


「俺は機械だなんて思いませんけどね」


「すぐに分かるよ。

いや、もう薄々分かってるんじゃないかな?

何事にも冷静だってさ」


「あ…」


そういえば思い当たる節があるかもしれない。


「あったでしょ?

まぁ、いくら神那ちゃんでも取り乱すことぐらいはあるけどね」


「意外ですね」


「うん、まぁね」


たまに怖いくらいに取り乱すことさえもある。


そもそも神那ちゃんをあんな風にしちゃったのは僕ら医者だからね。


「無感情ってそんなに大切なことなんですかね?

とてもそうは思えないんですけど」


「まぁ、僕ら外科医にとっちゃ大切だね。

冷静、器用、患者に感情移入しない。

これが外科医に求められることだから」


神那ちゃんはあらゆる感情をムダなものだと考えているけど。