Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

「本当に頻繁に出動するんですね」


走って行った神崎の後ろ姿を見て呟くフェロー。


機械に腕を挟まれてる、か。


場合によっては切断も考えられる。


問題なのはうちへ運んでも近藤が診れるかどうか。


よそへ回してくれた方が確実かもしれない。


「神那先生って何を信じて医者をやってるんですか?

神那先生の信念ってありますか?」


「信じているのは私自身。

信念はより多くの命を救うこと、ただそれだけ」


成す術もなくただ人が死ぬのを見ているのはもう2度としたくない。


その為に医者になったんだから。


「その為のドクターヘリ」


「俺も早く乗りたいです」


「その腕を持ってるならすぐにでも乗せられるけど」


「頑張ります!」








Piiii…。


「はい、霜月」


『神那ちゃん?僕だけど。

腹腔(フククウ)内出血の応急処置教えて』





【腹腔内出血】
腹腔内における臓器損傷のこと。
もしくは血管離脱により腹腔内に血液が貯留した状態。






語尾の伸びていない、真剣な神崎の声。