「居ることは居るんですね」


「私が知ってるのは1人だけだけど。

初期にここで研修した内科医」


医師の中で話が合うのは神崎とこの医師、藤代。


あとはCSとフライトナースだけ。


「へぇぇ…会ってみたいですね」


くだらない、なんでこんなこと話して…。


書き終えたカルテをしまい、部屋の隅に備わっているコーヒー機でコーヒーを注ぐ。


鼻腔をくすぐる芳しい香り。


口に含むと疲れた身体に染み渡る苦味。


「あ、俺もコーヒー貰っても良いですか?」


「自分で作るなら」


「はい」


「…オペ見学して何か感じた?」


「正直、ちょっと怖じ気づきました。

患者さんを前にすると目の前のことしか考えられなくて…」


まぁ、普通はそうか。


聞いたは良いが特に興味もない話題だった。