「病棟、異常ありませんでした」


恵が見回りから帰って来た。


「そう」


医学書の付箋のついたページを開く。


医学は日々進化している。


我々はより新しい医学を学ぶ必要がある。


そうすればより簡単で早く施せる治療もあるから。


「神那先生、お勉強ですか?」


「見れば分かるでしょ。

ただ居るだけなのは時間のムダ」


時間は限られてるんだから有効活用するべき。


私が自由に使える時間は他の救命医よりも少ない。


ヘリで出動する上に神崎分の書類も片づけているから。


僕書類ダメなんだよね、お願い…って会って早々言われた。


神崎分の書類もやる代わりにその他の雑務をやって貰っている。


「君も暇なら救命患者のカルテ読んでおいて」


「あ、はい」


救命患者全員分のカルテを渡す。


「お、多いですね…」


「必要なことは全て頭に叩き込んで。

情報不足は時に命取りになる」


「は、はい」


情報が把握出来ていなければ何も出来ない。


かといっていちいち教えるのも面倒。