Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

「挿管ってそんなに大事なものだったんですね。

知りませんでした」


「大事と言うよりは基本中の基本。

気道確保方法だから。

医学書をひたすら読むよりも自分の目で見て経験するもの」


「ねぇ、神那先生。

医学部って6年制なんでしょ?

じゃあフライトドクターの研修期間ってどのくらいなの?

医学部でコース選択するの?

それとも卒業後に別で研修するの?」


「基本は約2年。

医学部卒業後、もしくは勤めている病院を辞めて受ける。

卒業出来るか出来ないかは別としてね。

専門研修生のことをフェローシップ、フェローと呼ぶの。

この人がそう」


「え、水原先生が?

最短でも8年かぁ…長いなぁ。

神那先生も8年かけてなったの?」


「私は実質、医学部と医局だけ。

勤務して1年目にフライトドクターの話が来た。

国としてもあまり導入されていない、テスト段階だけど」


「え、そうなの?」


「そう。

ドクターヘリは我々が試運転みたいなもの。

それが上手く行って実績が認められたから全国で導入され始めている」