Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

処置室へ到着すると、すでに1名の患者が運び込まれていた。


「頸部を鋭利な刃物で切りつけられています。

更に、倒れた時に頭をコンクリートにぶつけたようです」


「分かった、僕が診るよ」


「霜月先生はこちらをお願いします!

原日和さん26歳、胸部損傷で…うちの患者です」


「輸液準備して。

水原、FASTやって」


「はい」


エコーを背中側から宛てる。


「FASTネガティブです」





【FASTネガティブ】
超音波検査では命に関わる出血はなさそう、ということ。





「分かった」


「すみません!

誰かもう1人お願いします!」


次から次へと運ばれて来る患者。


「水原、行って。

こっちは大丈夫だから」


「はいっ」


「平野里香、31歳女性。

腹部損傷の………うちの看護師です」


看護師か。


下手に感情移入しなければ良いけど。