瑠璃の死亡から1日。


「おはようございます」


どこか吹っ切れたような顔でステーションへと入って来るフェロー。


「おはよう」


思っていた以上に切り替えが早いようだ。


「おはようさん、水原」


「あれ?

今日神崎先生は居らっしゃらないんですか?

遅刻ですかね」


「神崎なら朝1でオペ」


一体神崎のことをなんだと思っているのか。


口調は緩く、普段は穏やかだが仕事に手を抜くような人ではない。


「そうですか、そうですよね」


「もう吹っ切れたん?」


「はい。

まだ少し引きずってますけどね。

いつまでもウジウジしてる訳にもいかないんで」


「ん、ほんなら良かったわ」


「はい、これ君に」


無線機を手渡す。


「ありがとうございます」


それを丁寧に受け取るとポケットへとしまった。


「水原もいよいよヘリデビューかぁ。

ま、神那さんが同乗するんやったら大丈夫やろ」


「そういう傲りが失敗を招くってこと忘れたの?」


冷静な物言いで指摘する。


「分かってるで、ほんのジョークやで」


ホンマお堅いなぁ、と笑う藤代。