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「ん……。」
ぱち、と目を開けると
目の前には見慣れた離れの天井が見えた。
背中に柔らかなベッドの感触。
そして、体にはピンクの布団がかけられている。
…ここは、酒場の離れ…?
机の上の置き時計に目をやると
針は午後十一時四十五分を指している。
私は、今の状況を冷静に理解して
今までの記憶をたぐり寄せる。
…たしか、社交パーティに参加して
ダウトに襲われて…
シルバーナと戦って…
それから……
その時、私の頭に黄金の髪の青年の姿が浮かんだ。
!
そうだ、ギル……!
私は、意識を失う寸前の出来事を思い出す。
ギルは、いつもより少し熱を帯びた声で私に語りかけてくれて
最後に私の目に映ったギルの姿は、いつもの彼ではなくて……
そこまで考えて、ばっ!とベッドから体を起こした。
…あれは、確かに“レイ”だった…。
…でも、視界がぼやけていたせいで
はっきりとは思い出せない。
私は、ぎゅっ、と布団を握る手に力を入れる。
…レイは、あの会場にいるはずがない。
それに、あの地下室にいたのは
シルバーナがギルに消された後は、私とギルだけのはずだ。
…私を抱きしめていたのは、ギル…だよね?
その時、かつて胸に抱いた疑問が再び蘇る。
“あなたが……“ギル”なの…?”
どくん…!
その時、心臓が大きく音を立てた。
…今さら何を考えてるんだろう、私は。
レイは、“違う”って否定してたじゃないか。
…でも…。
私は、一度深呼吸をして心を落ち着ける。
…もう一回、レイに尋ねてみようか。
いや、次は本気で怒られるかもしれない。
じゃあ、こっそり確かめる…?
どうやって……?
何か、ないだろうか。
“ギル”にしかないもの……
“ギル”だと証明できる、何か………
「…!」
その時、私の頭にある記憶が蘇った。
…そうだ。
ギルはリオネロと戦った時、胸に大きな傷ができたはず。
あれだけ深く、大きな傷…。
モートンの治癒魔法で血を止めたとはいえ、傷跡は残っているはずだ。
レイの胸に、あの傷がなかったら……
この疑問を全て綺麗さっぱり無くすことができる。
私は、ベッドから出て歩きだした。
…よし。
こっそり、“確認”してみよう。
一人で、ぐっ!とガッツポーズをして
そう心に決める。
……でも、どうやって…?
そこまで考えて、ぴたり、と足を止めた。
レイに、“服を脱いで体を見せて”って言うの?
ぼっ!!と、顔が赤くなる。
ち…ちょっと想像しちゃった。
無理だ…。
そんなこと、恥ずかしすぎて頼めるわけない…!
じゃあ、き…“着替えを覗く”、とか?
変態じゃん!
犯罪じゃん!!



