!!



私とギルが、はっ!とした瞬間

シルバーナが、まっすぐ私たちに向かって腕を突き出した。


パァッ!とシルバーナの瞳が鈍く光る。



…っ!

まさかあの瞳は、“禁忌の闇魔法”?!



と、次の瞬間

シルバーナの手からブワッ!と霧のような気体が放出された。


ギルは、とっさに外套で私を包む。



な…何……?!



どういう魔法なのか全くわからないまま

私はギルの腕の中で、じっ、としていた。


すると突然、ギルが、がくっ!と崩れ落ちるように床に膝をついた。



「ギル?!」



私が驚いてギルの顔を覗き込むと、彼の薔薇色の瞳は弱々しく光っていた。



…瞳の輝きは、魔力に応じて変化する。

一体、何が起こったの…?!



すると、シルバーナが苦しそうに呼吸をしながら口を開いた。



『…どう?体中の魔力を吸い取られる気分は…?

…ギル、あんたが闇魔法を使えなくなるまで私が全て残らず吸い取ってあげる…!』






ギルの魔力を吸い取っているの…?!



見ると、シルバーナも弱々しい瞳の色をしている。



まさか、自分の魔力も吸い取れらることが、この闇魔法の“リバウンド”なの…?!


シルバーナは、自分がどうなったとしても、ギルをこの世から消すつもりなんだ…!



するとその時

私の視界がぐらり、と傾いた。



…っ…!

か…体に力が…入らない…!



私はギルの肩にしがみつくように倒れ込む。



「…ルミナ…?!」



ギルが焦ったような声を出した。



…どうして…?

意識まで、もうろうとしてきた…。



その時、シルバーナがククク…、と笑って私たちに言った。



『…ルミナはシンが体に宿っているだけで、魔力を持たないただの人間。

この霧は人間にはさらに強く効くわ。十分も耐えられないでしょうね…!』



…!


この霧のせいで、力が入らないの…?!



体じゅうに、だるさを感じる。


…息が、苦しい…!



あまりの苦痛に目をつぶると

ギルの切迫した声が近くで聞こえた。



「ルミナ、気を確かにするんだ…!

僕が闇魔法でシルバーナごと、この霧を消す…!」






そんなことをしたら……

ギルに、罪を重ねさせてしまう…!



私は、その声に急いで目を開けた。



「だめ、ギル…、シルバーナを消すなんて…

………!!」




そう言いかけた時

私は目の前にあったギルの瞳を見て声を詰まらせた。



急に言葉を発しなくなった私に疑問を持ったように見つめるギル。



私は、そんなギルに向かって

ぽつり、と呟いた。




「……碧色の………瞳……?」



「!!」