それに、ダウトの奴らは俺と嬢ちゃんが屋敷の中にいると知っていて襲ってきたようだった。


…なぜ、俺たちの情報が筒抜けなんだ…?

ダウトにも俺のような“情報屋”がいるのか?



………あるいは……



その時

廊下の角を曲がった先に重厚な扉が見えた。



俺は扉に歩み寄りながら考える。



……大事なものは、鍵付きで厳重に守るもんだよな…。

ということは、あの扉の奥に“警備装置”があるのか?



俺は扉の前に立ち、携帯を肩と耳で挟んだ。



両手で扉のノブに手をかけ引っ張るが

ガチャン!と音がするだけで開く気配がない。



…くそ…。

予想通り、“鍵付き”か。



『ロディ、どうした?』



スピーカー越しに聞こえるレイの声に、俺はカバンをあさりながら答えた。



「今、“警備装置”が置かれていると思われる部屋の前にいるんだ。

案の定、鍵がかかってるんだが…この際手段は選ばず、こじ開ける。」



『!』



俺はそう言い切ると、カバンの中から小さな“針金”を取り出した。


鍵穴に向けて角度を調整し、差し込む。



…カチャカチャ…



小さな金属音が廊下に響く。



闇をあらかた片付けたからか、足音は一つも聞こえない。



…邪魔されない今のうちに、鍵を開けられるかが勝負だ…!



手元と音に神経を研ぎ澄ませ、俺は針金を操る。



…カチャカチャ……


カチャ……!




「!」




手に、今までとは違う振動が伝わった。


すっ、と針金を抜き、扉のノブに手をかける。



……ガチャ……


ギィ……



軋む音と共に、重い扉が開いた。




『今の音は?』



「あぁ、扉が開いたんだ。

意外と鍵は安物みたいだな。一重にしかロックされてなかった。」



俺の返事に、『ふーん、さすが。』とレイは少し上機嫌で言った。



カバンを肩にかけ、携帯を手に持って部屋の中へと足を踏み入れる。



すると、中は薄暗く、機械特有の匂いが鼻についた。



…キュイーン……



独特の機械音が、部屋に響いている。



部屋に入って、真っ先に目に飛び込んできたのは、馬鹿でかい四角い装置だった。


その装置にはいくつものコードが絡みつくように配線されていて

調整をするためのパソコンをつなぐケーブルまで付いていた。



…ぱっ、と見ただけで分かるな。

これがシルバーナさんの言っていた“警備装置”か。



俺は静かに機械に近づいた。



電話越しに、レイの伺うような声が聞こえる。



『ロディ、“警備装置”は見つかったか?』



「あぁ。…さすが金と技術を詰め込んだだけある。

見たこともないプログラムだ。」



電子の画面に表示された文字の配列は、複雑に構成されている。


…壊れてはないようだが……