…!

…心配要素しかない……っ!



私とロディが不安げにレイを見つめたが

彼は私たちの視線をさらりと受け流し、喧嘩売る気マンマンの顔をしていた。



…まぁ、レイは一応大人だし…ロディもいるから大丈夫だよね。



私も、パーティに慣れてないけど

この二人が側にいてくれれば、何があってもきっと大丈夫…。



私は、少し気分が軽くなったように感じて、初パーティの期待に胸が膨らんだ。



私は、ふと考えついたことをレイに向かって尋ねる。



「あの…、本物のギルは、パーティに来たりしないよね…?」



すると、レイは、きっ!と私に呆れたような視線を向けて低く答えた。



「どこの指名手配犯が呑気に社交パーティに参加するんだよ。」



…ですよね…。


でも、ギルがスーツを着てパーティに来てたら、きっとすごくかっこいいんだろうな。


すると、会話を聞いていたロディが、ふっと笑って私に言った。



「ギルは来ないが、パーティにはきっと金持ちの御曹司たちがわんさか来るぞ。

…そいつらは有名な魔法学者の娘の嬢ちゃんを、放っておかないかもしれないな。」



えっ!



私が驚いて少し頬を赤らめると

レイがいつものポーカーフェイスでさらりと言った。



「安心しろ。

誰一人ルミナに声かけてくる奴なんていねぇから。」






そ…そうだよね。

私に目をつける男の人なんていないよね!


急に恥ずかしくなって、手で頬の熱を冷ますように、ぱたぱたと数回仰ぐと

酒場に居づらくなった私は、レイに招待状を見せながら言葉を続けた。



「じゃあ、リビングのテーブルに招待状を置いてくるね。」



「あぁ。」



レイが頷くのを確認し、私は酒場の奥へと入って行った。




****


《レイside》



ルミナの背中が遠ざかるのを見つめていたロディが

ふと、俺に向かって口を開いた。




「…確かに、嬢ちゃんに声がかけられるはずないな。

もし声をかけてきそうな奴がいたら、お前が全力で阻止するんだもんな。」



「!」



…か…考えてることバレてた…っ!



図星を突かれた俺は、動揺したように少したじろいで早口で答える。



「だいたい、金持ちの御曹司なんて“顔目当て”、“名声目当て”、“体目当て”の枠に当てはまる男ばっかりじゃねぇか。

…そんな奴らをルミナの彼氏になんて、俺は認めねぇ。」



ロディは少し目を見開くと

怪訝そうに俺に尋ねてきた。




「…嬢ちゃんの彼氏になるには、レイの許可が必要なのか?」



「当たり前だろ。全員、面接するよ。」



「……………。」




ロディは、なんて言ったらいいのか分からない、といった様子で目を閉じ

自分の額に手を当て、黙り込む。





なんか変なこと言ったか、俺?



…ラドリーさんから頼まれた手前

変な男に、黙ってルミナを渡すわけにはいかねぇだろ。