私が覚悟して、ぎゅっ!と目をつぶった
次の瞬間だった。
『ぐ…っ?!
な……なんだ……これは……?!』
?!
リオネロの動揺した声に目を開けると、
リオネロは苦しそうに呼吸をしながら自分の胸元をぎゅっ!と、掴んだ。
『か…は…っ!…な…なぜだ…?!
俺は何も攻撃されてないはずなのに…っ!』
その時、リオネロの体が、びくん!と大きく震えた。
『ぐあぁぁっ……!!』
リオネロは大きく叫び声を上げると
顔を歪めてその場に倒れこんだ。
!
な……何が起こっているの…?!
私が目の前の光景に絶句していると
背後からギルの声が聞こえた。
「リバウンド……だ……。
リオネロは…闇魔法のリスクを…知っていたように思えない……!」
“リバウンド”…?!
…ということは、エンプティって奴がギルを消すために
リオネロを騙してわざと闇魔法を使わせたってこと…?!
私とギルの目の前で、リオネロは力尽きたように動かなくなる。
驚いて見つめていると、リオネロの体が、まるで砂のように崩れて消えていった。
……!
そして、リオネロは黒いマントだけを残してその場から完全に消えてしまった。
私は、その時ふとモートンの言葉が頭に浮かぶ。
“魔力のない低級が遊び半分で使うと、命を落としかねません。”
モートンが言っていたのは、こういうことだったんだ…!
私は、ふっ、と体の力が抜けた。
うまく頭の整理が出来ていない状態で、必死に心を落ち着かせる。
私は、ばっ、と後ろを向き、声をかけた。
「ギル…大丈夫…?!」
彼の声を呼ぶと、ギルは弱々しく答えた。
「…大…丈夫…だよ。
…ルミナ…、怪我…ない…?」
…!
私は、涙が溢れそうになった。
…こんなボロボロになって、ひどい傷を負っているのに
この人は自分よりも私の心配をする。
私は、ぎゅっ!と手のひらを握りしめてギルに言った。
「ギル、早く手当てをしなきゃ…!
病院にいこう?立てる?」
しかし、ギルは首を横に振って私に答える。
「ダメだ…僕は、タリズマンに指名手配されている…。
病院には…いけない…。」
!
そんな………!



