!!
思考が、停止した。
呼吸さえ忘れる。
私が状況を飲み込めないうちに、ギルは膝からガクン!と地面に崩れ落ちる。
「ギ………ル………?」
ポタ……
ギルの真下の地面に、赤い滴が落ちた瞬間
私は、はっ!と我に返ってギルに駆け寄った。
「ギル!!!」
ばっ!と、ギルの隣にしゃがみ込んで
私は絶句した。
ギルの胸元は、外套がひどく切り裂かれていて、そこから赤い鮮血が流れている。
「……っ………はぁ……はぁ…」
ギルは呼吸が乱れて、苦しそうに顔を歪めている。
!
ひどい傷……!
ぱっ、と見ただけでも相当深いのがわかる。
早く血を止めなくちゃ……!!
その時、ギルがゆっくりと口を開いた。
「…リオ……ネロ……!」
!
私は、その言葉に、ばっ!と目の前の敵を見上げる。
すると、リオネロは不敵な笑みを浮かべてこちらに歩み寄った。
『ふふ…無様だな、ギル。
この闇魔法で命を落とさなかったことは褒めてやるが、その姿ではもう戦えないだろう。』
…“闇魔法”…!
やっぱり、今のはただの攻撃魔法じゃなくて
魔法書に載っている“禁忌の闇魔法”なんだ…!
「…どうして…リオネロが…闇魔法なんて…
お前には…解読…できないはずだ……」
ギルは、苦しそうに口を開く。
すると、リオネロは勝ち誇ったような笑みを浮かべてギルに答えた。
『“エンプティ様”が俺に闇魔法を授けてくださったんだよ。』
“エンプティ様”……?
ダウトの仲間のこと…?
するとその時、ギルが、ごほっ!と咳き込んだ。
ギルの外套が、さらに血で染まっていく。
!!
時間がない…!
早く手当てをしないと、手遅れになる!
さっ、と全身の血の気が引いた
その時だった。
『さぁ、トドメを刺してやる。
…さようなら、ギル…!』
「「!!」」
リオネロがギルに向かって腕を突き出した。
私は、ギルの前に、ばっ!と飛び出す。
「やめてーっ!!」