『…っ…まさか…俺の攻撃を弾きかえすなんて…!』



信じられない、といった様子でそう呟くリオネロに

ギルは彼を見下ろしながら低い声で言った。



「もう諦めろ。

…お前の魔力じゃ、僕には勝てない。」



リオネロは、悔しそうにギルを睨んで唇を噛む。



すると、ギルは小さく息を吐いてリオネロに背を向けた。


コツ、コツ、とゆっくり私の方に向かって歩き出す。



…戦いは…終わったの…?



その時、リオネロがゆらり、と立ち上がった。


ギルは、ぴたり、と足を止めて振り返らずに口を開く。



「…まだやる気か、リオネロ。

そっちが引かないなら、今度はお前の命を奪うぞ。」







ぞくり!と背筋が震える。



…ギル…、本気で…?



その時、リオネロがニヤリ、と不気味に笑った。



…?!



なぜか、嫌な胸騒ぎがする。



…どうして笑っているの…?

ギルとの実力差は歴然としているはずなのに



と、次の瞬間

リオネロの瞳が鈍く輝いた。


それは、先ほどまでの色とは違う。



……あれは………

ギルが“禁忌の闇魔法”を使う時の…………



私が、はっ!と気がついた瞬間

ギルが私に向かって走り出した。



「!ルミナ、逃げろ!!」



びくっ!と体が震えた、その時

リオネロが私に向かって腕を突き出した。


そこから、禍々しい邪気に包まれた鋭い刃が私に向かって放たれる。



……っ!!



逃げる暇もなく、はっ、と息を呑んだ瞬間

ギルが私の前に飛び出して、光の壁を作り出した。



パァン!!



リオネロの刃と、ギルの光の壁がものすごい勢いで衝突する。



「く……っ!」



ギルが顔をしかめた。


衝撃に耐えている腕が小刻みに震えている。



ビキビキビキ…ッ!



リオネロの刃はどんどん威力を増していく。



と、次の瞬間

パキ…!と小さくギルの光の壁にヒビが入った。



!!



私とギルが目を見開いた、その時

パァン!!と、光の壁が砕け散った。



うそ………っ!



「ギ………………」



私が、ギルの名前を呼ぼうとした瞬間

鋭い刃がギルの胸を切り裂いて、赤い鮮血が闇夜に飛び散った。