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「はーっ!美味しかった…!

すごく豪華な料理だったね。」



ロディの案内で店へと着き、注文した料理をキレイに食べ終えた私は

ロディを見ながらそう言った。



本当に美味しかった。


メインの肉料理も、スープも、どれも新鮮な食材ばかりで作ってある。



…こんなにいいお店があったなんて。



ロディは、グラスを片手に答えた。



「ここ、意外と値段は安いんだ。

デザート好きなの頼め、嬢ちゃん。」



わぁ…!

幸せだなぁ…。



すると、レイがロディを見ながら尋ねる。



「いつも、ここにミラさんと来てんのかよ」



え?



ロディはレイの質問をさらり、と受け流す。



「二年前まではな。

…ま、ヨリが戻ったらまた来るさ。」



…!


私は、一瞬垣間見えた大人の世界に、ドキリとした。



…“ヨリが戻ったら”ってことは…

ロディって、ミラさんと付き合ってたんだ?


そういえば、ラルフと戦った時も“ワケあり”
みたいだった。


二年前ってことは、敵対関係になる前だよね



…今は“同僚”になったわけだし、進展があったりするのかな。



と、その時

レイがロディの手に持つグラスを眺めて言った。



「ロディ、それ酒か?」


「あぁ、あまり強くない。

…同じの頼んで、飲んでみるか?」



私は二人の会話を聞いて、ロディの持つグラスに目をやる。



…あれ、お酒だったんだ。



ロディは、頬を赤くすることもなく平気な顔をして飲み進めている。


…というよりも、お酒が似合いすぎてて困る



ロディが、店員さんに自分と同じものを注文すると

程なくして、レイのグラスに透明なお酒が注がれた。


レイは、少しキラキラした目でグラスを見つめている。



そっか。


レイは初めてお酒を飲むようなものなんだ。



もう二十歳を超えて二年になるけど…

レイって、お酒強いのかな?



私とロディが見つめる中、レイはグラスに口をつけた。



…ゴクリ。



一口飲んだレイは、トン、とテーブルにグラスを置く。


ロディが、様子を伺いながらレイに尋ねた。



「どうだ、レイ。飲めそうか?」



しかし、レイは答えることなく

ふっ、と顔を軽く伏せた。



…?



「レイ、美味しい?」



私がそう言うと

隣に座っていたレイが、ぱっ!と私を見た。


レイは、少し頬が赤く染まっていて

とろん、とした目には、ぽーっ、と熱が宿っている。






え…?


ま、まさか……