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二人の視線が交わる中
掠れた私の声が辺りに響いた。
「…やっと……私の名前、呼んだ……っ」
「!」
その瞬間
ぶわっ、と私の目に涙が溢れた。
せっかく見えたレイの笑顔が、涙でぼやけて見えなくなっていく。
体の力が抜けて、レイに抱きつく。
嗚咽が漏れて、肩が震えた。
…ルオンとの戦いから帰ってきたレイは
一度も私の名前を呼ばなかった。
やっと、やっと……
帰ってきたんだ。
レイが、私の背中に腕を回した。
力加減をしているが、強く抱きしめるその感じは、いつものレイだ。
私は、涙を拭きながらレイに尋ねる。
「レイ…私のこと、分かる?」
「うん。分かるよ、ルミナ。」
「本当に、本当に全部思い出した?」
「あぁ。完全にシンは解けたよ。」
レイの声が聞こえた瞬間
ぎゅうっ!と抱きしめられる。
ふわ…、と微かに石鹸のいい匂いがした。
あ……
レイの匂い……。
ほっ、と安心感が胸に広がった。
大好きな、レイの腕の中。
私は、心の中の不安をかき消したくて、レイの胸に顔をうずめたまま口を開いた。
「ねぇ…。
レイしか知らないこと、何か言って…?」
「俺しか知らないこと…?」
「うん…。本当に思い出したか、不安で…」
私は、レイを見上げた。
目が合うと、レイは、私の言葉に「んー…」と考え込んで口を開いた。
「リオネロと戦った次の日。
二日酔いで酒場を休んだことにしてたけど、実は胸の傷を千歳草で治してた。」
「…うん。
レイがギルだって知った時、私も、そうかなって思ったよ。」
レイは、私を抱きしめながら続けた。
「シルバーナの屋敷に行った時、闇の魔力を持ってたから一人だけ入れなくて
寂しく酒場で一人、ココアパーティをしてた。」
「…うん。私も、そのことは後でロディから聞いたんだ。
ごめんね、料理を持って帰れなくて。」
つい、レイがカウンターにいる様子を想像して笑みがこぼれた私に
レイが少し照れたように呼吸をした。
その後、数秒考え込んだレイは
さっきより色気を帯びた声で囁いた。
「ラルフと戦った日…。
ルミナをベッドに運んだ後、ルミナが寝てるのをいいことに、おでこにキスした。」
「…!」



