闇喰いに魔法のキス







もう、レイから目が離せなかった。


レイが、初めて私をちゃんと見つめてくれた気がした。


私は、意を決して彼に言う。



「レイ…。

名もなき魔法の魔力を、受け取ってくれる…?」



レイは、微かに肩を震わせた。


そして、私の目を見つめたまま

こくん、と無言で頷いた。



…!



レイが……

過去を思い出す気はないって言ってた、あのレイが…!



私は、ぎゅっ、とレイの服を掴んで彼の胸に顔をうずめた。


そして、はやる気持ちを抑えて

シンを渡した時のように、心の中で呟いた。



私は…シンのリバウンドを消したい。

レイに、私を思い出してもらいたい。



名もなき魔法の魔力を、レイに渡したい…!



と、その時だった。



ブワッ!!



辺りに、激しい風が吹き荒れた。


私の体が熱くなると同時に、レイの瞳が輝き始める。



「「っ!!」」



二人が目を見開いた瞬間

足元に大きな魔方陣が広がった。


バチバチと、レイに宿っているシンの魔力と魔方陣が共鳴している。


レイが、ぐっ!と私を抱き寄せた。

私は、そのままレイに体を預ける。


古代文字がものすごいスピードで魔方陣の周りを囲い始めた。


風で持っていかれそうになる体を二人で必死にこらえる。



その瞬間

パキ…!と小さく音がした。


見ると、足元の魔方陣にヒビが入っている。







私とレイが、はっ!とした瞬間

レイの体を、魔方陣から放たれた光が包んだ。



「くっ…!」



レイの口から、小さく声が漏れる。



パァン!



魔方陣が砕け散った瞬間

レイの体を包む光が消えた。


レイを見上げると

彼の薔薇色の瞳がどんどん薄くなっていく。



「レイ、レイ…っ!!」



必死で名前を呼ぶと、レイの瞳が一瞬に碧色に変わる。





しかし、すぐに薔薇色の瞳へと戻ってしまった。


レイの中で、シンのリバウンドと名もなき魔法の魔力が反発しあってるんだ。


苦しそうに顔を歪めるレイ。



…レイ…

お願い、シンの魔力に負けないで。


私のところに帰って来るって、言ったじゃない。



レイ、早く帰ってきて…!



薔薇色の瞳が揺らめいた時

私は、レイの服を、ぐっ、と、引き寄せた。



「……っ。」



レイが、呼吸をした瞬間

私は、レイの唇を塞いだ。


月明かりに照らされた地面に映る二人の影が重なった。



「……ん…っ…」



ちゅ、と小さな音を立てて唇が離れると

レイの瞳が、綺麗な海の色へと変わった。


見開かれた彼の瞳は、私の大好きな碧色の瞳。


背伸びをして浮かせていたかかとを地面につけると

私は、彼をまっすぐ見つめて口を開いた。



「レイ。」



「……!」



しぃん、と、夜の街が静まり返る。



レイは数回まばたきをして、私を見つめた。


そして、私が小さく呼吸をした瞬間

ずっと見たかった笑顔が目の前に見えた。



「……ルミナ……。」