ぞくり、と、体が震えた。



…こいつらは、エンプティの仇を討つつもりってこと…?



私は、黒マント達に向かって叫んだ。



「居場所なんて、知らないわ…!

私だって、今、彼を探しているのに…!」



逆に、こっちが教えて欲しいくらいよ…!


バサバサと、空中に浮かぶ黒マントがはためいた。


すると、黒マントは低い声で口を開いた。



『嘘をつくな。

ギルを守ろうとしたって無駄だぞ…!』





嘘じゃないのに…!


緊張感の漂う中、沈黙が辺りを包む。


私が、怯むことなく睨み続けていると

黒マントの一人がしびれを切らしたように叫んだ。



『言うつもりはないようだな。

…こうなったら、力ずくでもギルの居場所を吐かせてやる…!』






え……っ?!



私が目を見開いた、次の瞬間


黒マントは私に向かって黒いイバラを放出した。



っ!

まずい…!


走ったせいで、逃げる体力が残ってない…!



避ける余裕もなく、私はイバラに体を絡めとられた。



「!」



ギュル!と私の体に巻きつく黒いイバラが空中へと高く伸びた。


足が地面につかない状態で
ギリギリ、と体を締め付けられる。



……っ!


く………

苦し……い……!


息が…出来ない……っ……!



だんだんと、意識が遠くなる。


ぼんやりとした視界に、煌々と輝く月が見えた。


その黄金の色は、ギルの髪の毛の色と重なって見える。


あぁ…

最後まで、会えなかった。


こんな時、ギルはいつも助けに来てくれた。


でも、私を救う闇喰いは、もういない。


ギルは、私に正体を明かした瞬間

消えたんだから。


レイは、もう二度とギルにならない。


もう二度と……

関係のなくなった私の元には、現れない。



もう……ダメ……だ…



最後に………

会いたかった……な………



つぅ…、と頬に涙が伝った時


鋭く、低い声が辺りに響いた。




「………そいつに何をやっている?」