『…俺、今からお前に嘘をつく。』
『え……?』
『今から言うことは俺の嘘だから、熱に浮かされたうわ言だと思ってくれていい。』
っ!!
まさか………っ!
私が短く息を吸った
次の瞬間だった。
『……好きだ。
お前のこと…誰よりも、何よりも大切に想ってる。』
!
『本当は、お前をここに置いて行きたくない
ずっとこのまま抱きしめて、離したくない』
『……なんてな。』
きゃーーーーっ!
も、もうストップ!!
聞けない!!
改めて聞くと心臓爆発するっ!!
ま、まともな顔して聞けないよっ!
私の混乱をよそに、通信機からは私とレイの甘い声が流れる。
『……今のも、嘘……?』
『“……ザザザ……”』
『……んっ…』
『……ばーか。』
きゃーーっ!
きゃーーーーっ!!
きゃーーーーーっ?!!!!
私は恥ずかしさのあまりカウンターに突っ伏した。
きっ………
きききき、キスしてる音までばっちり録音されてるのっ?!!
ちらり、とレイを見上げると
レイは激しく動揺して耳を赤く染めている。
れ、レイ、普通に照れてる…っ!
思い出してくれてるのかな?
こんなにロディに爆弾落とされてるんだし、思い出してくれるよね…?!
その時
通信機からロディのドスの利いた声が聞こえた。
『レイ、てめぇ…。
俺はお前に、“嬢ちゃんには手を出すな”って言ったおいたはずだよな…?』
っ!
これは、もしかして
私がレイと別れた後の、ロディとの会話…?
レイってば、ロディに怒られてたんだ…。
と、その時
何かを察した様子のロディが、ブツ!と通信機のスイッチを切った。
えっ!
驚いてカウンターから顔を上げると
複雑な顔をしたロディが、少し躊躇しながら私に言った。
「…この先は聞かない方がいい。
まぁ、ここまででもう十分レイへの刺激にはなっただろ。」
!
私は、ゆっくりとレイの方を見た。
レイは、言葉を失っている。
ふっ、と目が合うが、それは一瞬だけで
レイに、ばっ!と逸らされた。
……っ!
レイ………。
私が、そわそわしだしたレイを見つめていると
ロディが低い声でレイに声をかけた。
「レイ、どうだ?
何か嬢ちゃんのことを思い出したか?」
私は、少しの期待を胸にレイの答えを待つ。
しかし、レイは動揺をしてはいるがいつものポーカーフェイスで小さく答えた。
「べ…別に思い出さねぇし……。
俺が、こいつと知り合いだったことは認めるけど……。」



