つい、言葉を失った。
レイをここに預けたのは、お父さんなの…?
どういうこと…?
レイがお父さんの知り合いだったなんて。
ぐるぐると疑問が頭の中に渦巻いた時、ログハウスの中からレイが声をあげた。
「いつまで話してんだよ。モートン、さっさと千歳草をくれ!」
「ひぇっ!わかりました…!動き回らないでください、実験器具が壊れますから…!」
モートンは焦るようにログハウスへと入っていく。
話を聞きそびれちゃった。
レイにも、後でちゃんと聞いてみなきゃ。
私は、モートンの後を追いかけるように、ログハウスの中へ一歩踏み出したのだった。
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「よし、これでいいですよ」
モートンが、私の腕に千歳草を貼り付け、包帯を軽く巻きつけた。
「ありがとうございます」
何だか、すーっ、として痛みが消えていくみたい。
千歳草って、すごいんだな。
レイは千歳草を何枚か袋に入れて、コートのポケットへとしまう。
私は、そんなレイに向かって尋ねた。
「ねぇ、レイ。レイって、私のお父さんと知り合いだったんだね?」
その時、レイが大きく目を見開いて、そしてギロッ!とモートンを睨んだ。
まるで、“余計なこと言ってんじゃねぇ”と言わんばかりの顔だ。
知られたくなかったのかな…?
どうして…?
するとレイは、はぁ、と息を吐いて答えた。
「ラドリーさんは、研究所を出た俺をモートンのところに連れてきてくれたってだけだ。別に、深い関係じゃない」
他にももっと詳しく聞いてみたかったけれど、何だかレイがそれ以上のことを聞かれるのを拒んでいるような気がして踏み込めなかった。
確かに、他人に過去を詮索されるのはいい気分しないよね。
もう聞くのはやめておこう。



